「りょーちゃんさ、私のことよく覚えてたね」

「お前もじゃん」

「そーだけど。だって、たったの3ヶ月しか一緒にいなかったのに。あの時のりょーちゃん、ほんと小さくて可愛かった」


「あのさ、」

りょーちゃんは今度はむくりと体全体を起き上げた。

「りょーちゃんってやめてくんない?」

「えっ…」

「俺、もうそうゆう歳じゃないし。あと、自分の名前嫌いなんだ。」

さっきの笑顔と変わって、鋭い目。
今の彼からはあの時の面影はひとつもない。

「…じゃあ、なんて呼べばいいの、」

「………関戸でいいよ。」



今度は急に寂しそうな顔になる。
切なそうで、今にも泣きそうだった。


「みちるちゃん!」

「えっ?あっ、夏花…」

「関戸くん…だよね、お友達なの?」


そうだ…、まだ夏花には話してなかった。

「…うん、小学生の時ちょっとの間だけ学校が一緒だったの。」

「そーなんだー。

はじめまして!立木夏花です。」


夏花はりょーちゃんに向かって軽く会釈した。

「どうも、俺のことは関戸って呼んで。下の名前あんま好きじゃないからさ」

「……?うん、わかった!私は立木でも、夏花でも!」

「じゃあ立木で」

「えっ、なんか距離感」

初対面のはずなのに、なんだか楽しそうに話し始めた二人…


あれ?


「りょ…、せ、関戸くんって人見知りだったよね?」

「関戸でいーよ。あーうん。昔はね、」


信じられない…私以外の人と喋ってるのなんか見たことなかったのに

「いつまでも苅原苅原って、ベタベタしてませんよ。ましてはもう高2だぜ?」


苅原、

そー言われると、なんだか胸が痛くなった。
りょーちゃんは昔、私の事みぃちゃんって呼んでたから…