「…ま、せいぜい頑張りなよ。
あたしはこれから稽古があるからさ。」


「…。」


そう言って立ち去ろうとしたが、
振り返って山崎と廊下の影にいるであろう人物に向かって言った。


「…ちなみに、自分で言うのもあれだけど、あんたらの敵ではないことは確かだ。」


それじゃ、と言って
あたしは稽古をするために道場へと向かった。


「…あんな泣きそうな目で言われてもなぁ…」


そんな山崎の呟きは
誰にも届くことはなかった。