100名収容可能な部屋は、頭上にはシャンデリアがきらめき、カラフルなスイーツが置かれたテーブルを囲む様に、スーツ姿の男女が楽しそうに会話に花を咲かせていた。

「男性の数も、かなり多いじゃない」

耳打ちをしながら言うと、圭祐も小声で答えた。

「だから、言ったろ?夫人の集まりっていうのは口実だって」

一歩ずつ足を踏み入れながら、独特な雰囲気に圧倒される。

テーブルの数は十数組あり、見事に集団が出来上がっている。

どうやら、派閥的なものがあるらしい。

一体、どうすればいいのか。

圭祐に聞いてみようとした時、仕事の電話がかかってきたのだった。

「ごめん、美亜。急な呼び出しで、1時間ほど抜けるから頑張れよ」

「えっ!?頑張るって!?」

圭祐だけが頼りだというのに、抜けられるのでは心細い。

「とにかく、水川社長を探せ。大丈夫、美亜なら出来るよ」

そう言って圭祐は、走る様に部屋を出たのった。

「うそ~」

戦場に一人きり…。

呆然とドアを見つめていると、背後から女性の声がしたのだった。

「浅井社長の奥様ですか?」