圭祐の車に揺られながら、今さらながらにあのカクテルの色は、そのまんま私の色だったと気が付いた。
その事を圭祐に言うと、ケラケラと笑われてしまった。
「兄貴ってさ、変なところで鈍いんだよ。ってか子供ぽいって言うかさ」
「どういう意味?」
「あのバーの店にもさ、美亜の事を散々自慢げに話してたんだ。だから、あの色のカクテルが作られたわけで」
「そう…なんだ」
自慢げにって、何を自慢する事があるのか分からないけれど、私の知らない所で話しをされるのは嬉しかったりする。
「それなのに、意味なく素っ気ない態度を取ったりするだろ?あれは、完全に美亜にヤキモチを妬かせる為だったんだよな」
「ヤキモチ?」
だから、あんなに佐倉さんとの仲の良さを見せつけたりしたのか。
お陰で、凌祐への不信感が大きくなったのだけれど、そんな理由からだったとは力が抜けていく。
「呆れるだろ?兄貴は、モテるばかりの人生だったからなぁ。鈍いんだよ。相手の気持ちを汲み取るのが。そして、やる事が子供ぽい」
凌祐を知れば知るほど、意外と子供じみた性格なのだと気付いて、それも愛おしいと感じるのだった。