「よお。けっこう“サマ”になってるじゃん」

濃紺のスーツに身を包んだ圭祐が、車のキーをちらつかせながら私を上から下まで舐める様に見た。

「あんまりジロジロ見ないでよ。恥ずかしいから。どう?白いスーツって、着慣れないから似合ってるか不安…」

衿を立て、髪をアップにしたのは、周りの奥様たちになめられない為だ。

25歳という年齢は、今から行く世界では子供も同然。

しかも新婚で人脈もない私には、戦場も一緒だった。

だから、少しでも大人に見られなければ。

そう思って、普段とは違うスタイルをしてみたのだ。

「似合ってるよ。新婚て感じでいいな。白は美亜にピッタリだ。なんて言うか、清楚な感じが」

照れ臭そうに言う圭祐に、いつかのバーでの夜を思い出した。

イメージに合った色で、作られたカクテルを出された時…。

ピンク色の可愛い佐倉さんのとは違い、私はシンプルな白色だと落ち込んだけれど…。

「私って、白のイメージ?」

呟く様に言うと、圭祐はニヤッと笑った。

「イメージだよ。それに白は、花嫁の色だろ?ちなみに、赤は美亜が披露宴で着たドレスの色」