久しぶりのキスは、なかなか唇を離せなくて、自然とお互いの体に腕を回していた。

やっぱり、私にはこの温もりでなくてはダメだ。

意に沿わない結婚も、いつの間にか私にとって、かけがえのないものになっている。

「美亜…」

凌祐がこうやって名前を呼ぶ時は、私を抱こうとしている時。

それが分かるから、凌祐の望むままに、私はただ受け入れるだけ。

佐倉さんの事は、もう思い出さない様にするから、凌祐を信じる様にするから。

もう、前だけを向いて、私は今度こそ凌祐の“妻”として、真っ直ぐに歩いていく。

幾日かぶりの素肌の触れ合いは、こんなにも幸せを感じるものだったかと思うくらいだ。

どんなに名前を呼んでも呼ばれても、キスをしても触れ合っても足りない。

もっと、もっと一緒にいたくて、見て欲しくて、声を聞かせて欲しくて…。

どうすれば、この想いが伝わるのだろう。

もどしい気持ちを抑えながらも、今夜は初めて心も重なった気がして、それが私の気持ちを満たしていたのだった。