「それじゃあ、凌祐は私を好きで結婚をしたって事なの?」

すると、凌祐はゆっくりと頷いた。

「そうだよ。俺は好きだった。だからこそ、美亜との結婚は、絶対にうまくいかせたかったんだ」

「だけど…、離婚届を出しちゃったね?」

今さら知った凌祐の気持ち。

もう少し早く知っていれば、離婚届なんて書かなかったのに…。

後悔の波が押し寄せた時、凌祐はジャケットの内ポケットから何かを取り出し、テーブルに広げた。

「離婚届!?何で、ここに?」

それは紛れもない、サインを書いた離婚届だ。

「出してないから」

しれっと答える凌祐に、こちらは混乱気味だ。

「だって、さっきは出したって言ってたじゃない」

「ああ、あれは、そう言えば安心して話を聞いてもらえると思ったから、嘘をついただけ。離婚なんてするかよ。美亜は、俺がようやく手に入れたんだ。絶対に離したりはしない」

そう言って凌祐は、離婚届を手に取ると、それを破り丸めてごみ箱へと投げたのだった。

「美亜。唯香に対しての俺のやり方は、最低だったと思ってる。それを知られて、美亜に軽蔑されたとしても自業自得だ。だけど、美亜が好きなんだ。今までも、これからもずっと、美亜が好きだ」