「ホラ、どうなのよ。郁実と今後一切関わりを持ちませんって言いなさいよ」



「…………」



こんなの、間違ってる。



言いたいけど、さすがに怖くて口に出せないでいると。



「わかった、ノーってことね」



白雪ちゃんが男の人に目で合図をすると、二人に後ろから両腕を取られた。



「嫌っ……何するの!?やめて!!離してっ!!」



必死にもがくけれど、男の人の手が腕に食い込むだけ。



怖いっ。



誰か来ないか周りを見るけれど、公園の奥過ぎて誰も通る気配がない。



逃げようにも、3人に囲まれてるしどうにもならない。








「ねぇ、ストーカーとはどんな夜を過ごしたの?ニュースでは未遂って流れてたけど、ホントは……」



ストーカーが来た日のことを思いだしただけで、背筋が寒くなる。



「何が言いたいの……?」



「郁実が助けたって言っても、もう色々された後だったんでしょ?」



「違う!郁実が来てくれたから……何もされてない……」



記憶が……鮮明に、よみがえる。



ストーカーのじっとりとした肌、汗のにおい、吐き気がしそうなほどの気持ち悪い息遣い。



自然と、背中に冷たい汗が流れた。



「されてない割には……動揺してるよね。どうだった?気持ち悪かった?怖かった?」



「やめてっ……」



目をつむって、頭を振る。



思い出したくない……あの、最悪な夜のことを。