「そうなんだ……あっ、今日郁実、休みなんだけど風邪なの?」



「ううん、退学届のことでおじさんと今日話をするって……」



……しまった。



これは秘密にしておかないと、いけなかった。



「ちょっと、どういうこと!?3時にハーモニー公園に来いって言ったよね?」



今まで穏やかに話していたのに、急に険しい顔で詰め寄られる。



「そ……それは、大丈夫。現地集合にしてるから……」



とっさにそう追加すると、白雪ちゃんの顔が穏やかになった。



「そうなんだ~。アハッ、今の冗談だからね。気にしないでね」



「冗談だったんだ……びっくりした」



白雪ちゃんって、ときたま豹変するから怖い。



小さくため息をついていると、白雪ちゃんがあたしの机に手を置いた。









見上げると、冷たい表情であたしを見下ろしている。



「ねえ、真央……」



「え……なに?」



「約束破ったら……わかってるよね?」



ドキッ。



なんだか威圧するような雰囲気が漂う。



ヘビにニラまれたカエルのように、あたしは微動だにできなくなった。



「……うん」



「よかった~。やっぱり真央はあたしの親友だねっ」



ギューッと抱きしめられ、なんだか息苦しくて思わず目をつぶった。



……友ちゃんにされるときと、何かが違う。



直感的にそう思ったけど、何が違うのかはよくわからないでいた。



白雪ちゃんといると、なんだか息が詰まる。



親友って言ってるし、こんなこと思っちゃいけないんだろうけど。