「一緒にいたいなら、なおさらだよ。デビューしたら、忙しくてそれどころじゃないだろう」



「郁実は、大丈夫って言ってくれました」



「そうだろうけど、なかなか難しいだろうな。

それに、親子の縁を切られて…普通にしていられるかな?」



ドキッ。


それは、そうかもしれない。


夢が叶っても、身近な人に反対されてるのは…ツラいよね。







「一番いい方法は、家族も納得させて、自分の夢も叶えることだよ」



「そんなこと…どうすれば…」



「とりあえずは、一度言う通りにした方がいい。それから、少しずつ説得するしかない」



「そんな…それじゃ、ダメなんです。郁実は、今、ここにいたいって」



「それは、できないんだ。君もわからない子だな。言われたとおり、説得すればいいんだよ!!」



声を荒げ、学園長が肩で息をする。



「もう…いいです。失礼します」



学園長と、もうこれ以上話したくないよ。



郁実のためになにもできない自分に、心底腹がたつ……。



顔を強ばらせたまま、足早に学長室を出ようとすると、学園長が、あたしの腕を取った。