「実は…井上くんの親御さんから、退学届が出されているんだが…」



「ええっ!?」



驚きのあまりそれしか言うことができず、そのまま固まってしまう。



あたしの反応を見て、学園長がフウとため息をついた。



「本人には内密に、数日中に手続きを済ませたいそうだ」



そ……そんな……。



おじさんが勝手に話を進めてるってことだよね!?



結局、オーディションに行っても行かなくても、



郁実は転校させられる予定だったってこと?



明日、郁実はおじさんと話をするつもりだって言ってたよね……。



もしかして、強硬手段に出たってことなのかな。



こんなの……ひどすぎるよ。








「い……嫌です……なんとかしてください……」



頼んでも仕方がないのに、言ってしまった。



困ったような表情を見せたあと、学園長は床に視線を落とした。



「なんとか…と言われても、困ってしまうね。私から本人に話しても、揉めるだけだ。

三沢さんが、彼を説得してくれないか?」



え……、今…なんて言ったの?