「三沢さん、少しいいかな」



学園長が、あたしを引きとめる。



「あたし…ですか?」




「今回の事件のことで、学校から2、3点質問があるから残って欲しい。

井上くんは、すぐに体育館に向かうように」




郁実が心配そうにあたしを見ていたから、笑顔を見せる。



「すぐに追いかけるね!先に行ってて」



「ああ…じゃ、あとでな」



あたしが笑ったから安心したみたいで、郁実は学長室を出ていった。










学園長とふたりっきりの空間は、なんだか緊張する。



なにを聞かれるんだろう……。



警察からも色々聞かれたけど、あのときは郁実が側にいてくれたからなんとかなった。



できれば、あの夜のことは…あまり思い出したくないんだよね。



黙ったまま突っ立っていると、



窓際に移動した学園長が、ゆっくりとこちらを振り返った。