「そんなこと信じたの?それで、郁実をあっちに行かせようとしたの?最悪……」



まさか、おじさんがあたしを騙したっていうの?



「引きとめはしたけど……」




「やっぱり引きとめたのね!?」



白雪さんがくってかかってくる。



「だけど、そのあとにやっぱり行かないことに決めたのは、郁実自身だよ」



「だからあんたが…」



「違うよ。一度は、会場に向かったの。だけどマスコミに押されて戻って来て……。

白雪さん、電話くれたよね。あのとき……途中から、郁実に電話を取られたの」



そう言ったら、白雪さんの顔がサーッと青ざめた。



「えっ……」










「白雪さんがしようとしたこと、全部……バレてるから」



「ウソッ!!」



「ホントだよ。あの電話を聞いて、郁実は行かないって……それは、バンドのメンバーの全員がそう言ってたって」



白雪さんの唇がガタガタと震えだす。



「郁実が……あの電話を、聞いてた……?だけど、なにも言いかえしてこなかった……」