「そんな約束…しても無駄だから。郁実が同じ子をずっと好きでいたことなんて、ないし。

いつも、その場限りだよ。遊ばれてるのに、気付いてないの?」


ズキッ!


落ち着け…あたし。



「そんなこと……ない。こんな気持ちになったのは、あたしだけだって、言ってくれた…」



「アハハ、笑っちゃう。みんなに言ってるのがわからない?悪気があってしてるわけじゃないから、郁実を恨まないでね。そういう人なの」



「郁実は……そんな人じゃない」



口調が、だんだん弱々しくなっていく。



郁実を信じたいって思うけど、自信がない。








「郁実のおじさんが迎えに来たって聞いたから、デビューの話を急がなきゃって思ってたのに。あんたが邪魔するから、全部丸つぶれよ!!

あんたが好きでいるのは勝手だけど、郁実の将来まで奪うつもり!?」



白雪さんにピシャッと叱られ、肩がビクッと震える。



「そんなつもり…ないよ……」



「海外なんかに行ったら、おじさんの思惑通りよ。行ったら最後、郁実は最低でも5年は帰って来ない」



……え、今…なんて?



あたしが呆然としていると、白雪さんが続けて話す。



「おじさん、来年会社を辞めてあっちで独立するの。だから郁実に手伝ってもらうって話を人づてに聞いたの」



「ウソ……あたしはそんなこと、聞いてない。おじさんは、大学は日本で受けさせるって言ってた」