「昔の面影ないって…綺麗になったねって言ってくれたのに。そんなの、ウソ……だったってこと?」




「あ……たしに、聞かれても。小さい頃、虫とか平気で掴むような子だったんでしょ?

いつもカバンの中に入れられて、それが印象的だったみたいなことは…言ってたかな」




「あのこと……まだ、覚えてたんだ……。しかも、そんなこと……あんたに話したんだ」



目に見えてショックを受けている白雪さんを見ていると、なんだか心が痛む。










「郁実がデビューしたいって人づてに聞いた日から、あたしも一緒に夢見てきたの。

綺麗になるための努力は惜しまなかったし、陰ながら郁実にもいっぱい尽くしてきた。

それなのに、途中で横取りされたあたしの気持ちがわかる?」



白雪さんは、すがるような目であたしに訴えてくる。



「そう、言われても……あたしだって、そんなつもりじゃなかったし…」



「あんたのそういうところ、ズルい……。自分はなにも関係ないみたいな言い方して。なにかしたから、郁実が好きになったんでしょ!?

なにしたのよっ!!毎晩ベッドに忍び込んで郁実を誘惑したんでしょ?正直に言いなさいよっ!!そうじゃなきゃ、あんたなんか……」