「どうして郁実を連れて来なかったのよ!!

あの話はなかったことになるし、面目丸つぶれだって、おかげでパパには怒られるし……一体、どうしてくれるの!?」



ホッ……。



白雪さんの話、なかったことになったんだ…。



知らず知らずのうちに笑みがこぼれていたのか、白雪さんの表情が強張る。



「笑うなっ!!郁実の携帯は通じないし、どうせあんたが全部仕組んだことなんでしょ?」



「まさかっ……」



「ストーカーに狙われた?誰かに頼んで一芝居うったんじゃないの?

郁実を誘惑した、したたかなあんたの考えそうなことだよね」



「ひどい……あたしは、白雪さんみたいに郁実を…騙したり、しないから」



白雪さんを思いっきりニラんだ。



「ウソつき女!」



「どっちがよ!!バカじゃないの?どうしてあたしが、そんな芝居をする必要があるの?

そんなこと思うこと自体、どうかしてる。郁実が好きすぎて、頭いかれちゃったんじゃない?」



一気にまくしたてたら、白雪さんの顔がみるみるうちに真っ赤になっていく。