「おはよう、仲がよろしいことで」
教室に到着するなり、友ちゃんがニヤニヤしながらあたしに話しかけてきた。
「なっ、なんの話!?」
「郁実くんと一緒に登校したよね?噂になってるよー!真央と郁実くんが、同棲してること!!」
「どっ……同棲じゃないし!!」
必死で訂正するも、友ちゃんは完全に聞いてない。
「あ~、いいなあ。一緒に住んで、ストーカーから守ってくれて、それで愛してるって言われて……。
一緒のベッドで寝たりしたの?あ~、真央がうらやましい!!」
「いやー…友ちゃんが期待するような事実は、一切ないから」
一切ないこともないけど、うっかり話すと、話が飛躍しそうで怖い。
「そうなの~?ニュースでは同居している同級生の女子生徒を守ったって言われてたけど、同棲って訂正してもらわなきゃね」
「いやいやいや……」
それでなくても、
女子生徒の視線が痛いっ!
1年なのか、3年なのか。今日は知らない女子が、教室の周りに群がっていた。
「えー!あの人が郁実先輩の彼女なの!?」
「噂通り、かわいい……でもあたしは認めない!!」
「郁実くんと一緒に住んでるって、マジなの?誰か聞いてきてよ」
……みんなが、あたしを見てる。