「見て!郁実くんが、映ってるー!」




「もう、朝から何度も見たってば……」




ウンザリしつつそう言うと、友ちゃんの声が更に大きくなった。




「もう、アイドル状態だよね!真央、郁実くんの人気がますますでちゃうね」




「うん…」




あー、嫌だ。



今以上、郁実の人気が出るなんて、考えたくない。











「そろそろ家出なくちゃ。また後でね」



電話を切ろうとしたら、友ちゃんが叫ぶ。



「そうだ、真央のお母さんも顔は隠してあるけど、映ってたよね」



「あー…うん。そうだねぇ。じゃ、またあとでね」



友ちゃんとの話を無理やり終え、電話をカバンに突っ込んだ。



お母さんが報道陣の前できちんと話してくれたから、報道陣が来なくなったっていうのもある。



だけど、その内容が……あたしには、納得がいかない。