精神的にダメージをうけていたら
いきなり扉が開いた。

「おはよーございまーす。」

茶髪のややたれ目の男性が入ってきた。
男性は左真ん中の席に座った。

「おはよー栄(さかえ)ちゃん。今日もキレーやで!」

男性は隣奥の机に向かってそう言った。
え?この人大丈夫か?
だってこのオフィス(というよりも部屋)俺しかいなかったはず。
そぉーっと男性のを見ると、確かに人がいた。
黒いセミロングで全身黒い服の女性だ。
俺は驚きのあまり椅子から落ちてしまった。
だって、さっきまでこの部屋にいなかったんぞ…!?
それに全身黒って…!
も、ももももしかして…幽霊、とか!?
うわああああ!それはないって!訳ありっていってもそういう訳ありがよかったわけじゃないぞ!!!
俺がパニックに陥っていると
男性がさっきの俺が椅子から落ちた音に反応してこっちに向かっていた。

「ちょ、大丈夫?君、その椅子結構危険やから変えた方がええよ。」

「へ?あ、あぁ…」

男性のいうとおり大人しく椅子を交換した。
さっきの女性がこちらをじぃっと見つめていた。

「君、新人さんやんな?難儀なとこに来てもうたなー」

「いえ、自分はここを志望してましたから…」

「そうなん!?嬉しいこと言ってくれるやないの。あ、俺は佐藤和希(さとうかずき)。で、奥のんが栄真奈(さかえまな)ちゃん。かわえーやろ?」

佐藤さんはデレデレとしながら彼女を紹介した。
そうか?確かに髪の毛は綺麗な黒髪だしストレートだけど、顔はかわいいっていうほどじゃない。肌も白すぎて不健康っぽいし。ってか幽霊なんじゃ…!

「そういうところも踏まえてかわええねんて!」

え、エスパー!?今俺の考えてることが佐藤さんに…

「栄ちゃんはパソコンを誰よりも愛してて、愛機に会うために出社時間二時間前にはパソコンの前におるんや。」

「そ、そうなんですか…。」

「まだうたがっとるようならさわってもええで?ちゃんと脈あるし」

「え、遠慮します…」

「そう、ざーんねん」


やっぱり佐藤さんはエスパーなんだろうか。