「部長、ずみまぜんでした。俺頑張ったんですけど…部長に回せなくて…俺、俺…」

涙と鼻水でぐちゃぐちゃになって
呂律もよく回っていなかった俺の頭を部長はくしゃくしゃと撫でた。

「気にすることなんてない。あいつらは強かった。強いあいつらからお前は一勝取ったんだ、むしろ誇っていい。」
「でも部長はこの夏で引退じゃないですか。部長は戦ってないのに引退だなんて俺、情けなくて…」

部長ははぁとため息をつくと
あのなぁとつづけた。

「お前、明日の個人のこと忘れてるだろ。何今日で世界の終わりだ、みたいな顔してんだよ。今日の結果は今日の結果だ。それから覆ることなんてないんだ。前を向いて常に次のことを考えろ。相手より、仲間より二手三手先を読め。」
「はい!」
「よし、いい返事だ。これを絶対忘れるなよな、次期部長。」
「はい!」
「…任せたぞ、結城。」









部長はその次の日の個人の部準決勝で、6‐7で負けたー