…あれ。

なんでこいつ怒ってんの?

すると、沢嶋がいきなり俺の肩に思い切り掴みかかってきた。

「…しょうがない…?しょうがないで割り切れるの!?」

そしてすごい勢いで前後に揺すぶられる。

「こんなにボロボロに殴られて、心までギスギスにされて、こんなにひどいことされてるのに!!悔しくないの!?やり返そうって思わないの!?ねえ、なんで黙ってやられてるの!?川村と川村のお兄ちゃんは、違うのに!!!」

そこまで言うと、沢嶋はハァハァと息を付きながら、俺の肩から手を離した。

…迫力に圧倒されて何も言えませんけど。

「私は、絶対に思わない。しょうがない、なんて!!川村のお兄ちゃんにされた事の仕返しを川村にするなんて、そんなのおかしいじゃん!!川村は何も思わないの!?…悔しいって思わないの!?…川村は何も悪くないのに!」

……みんな俺が悪いって言った。

仕方ないって。

お前はあいつの弟だから。って。

だから俺は自分の心を潰して、仕方ないって割り切った。

誰も、誰も分かってくれないと思ってた。