「…うん、じゃあ、行こう。」

そう言うと佐野君はうん、と頷いてさりげなく私の手を取ってきました。

全力で振り払いたいけど我慢。

本当に『変な意味』じゃないんですよね!?

「…あの…手…。」

「ん…?」

ん?じゃないですよ!!!!!!

「佐野君…手!」

「…。」

すいません聞こえてますかああああああああ!!

すれ違う人みんな黄色い声を上げたり、時には嫉妬の眼差しで見つめられたり。

「放してよっ、ねえ、」

嫌だ、何この人。

「……。」

そのまま教室に引きずり込まれました。

「ねえ!ちょっと、聞いて!!!!」

佐野君が叫ぶと、それまでざわついていた教室中が静まり返り、視線が一気に私たちに集中しました。

「…あのさー、沢嶋、今日から俺の女だから。手出しした奴、ぶっ飛ばす。」

「は。」

びっくりして声も出ないって正しくこの事ですね。

教室が一気にざわつきました。

「ちが、違うっ、私…っ…!?」

思い切り抱きしめられました。

何が何だかわからない。