「…じゃあ…やっぱ川村の、事?かな。」

「まあ、色々あったんだ…。」

私はふふっと笑ってみせた。

「でも、もう仲直りするんだ。私がごめんなさいするの。」

「え、なんで…。」

「え?」

何で?…何が何でなの?

「…ごめん、何でもない…。」

「そっか。」

うーん、佐野君ってなんか変な人?

たくさんの女の人の匂いがする人って大体良い人いないんですけど。

「あ、帰るんだったら、家まで送るよ?」

「ううん、いい。」

「…え…?でももう薄暗いし、遠慮しなくても。」

「ううん、遠慮じゃなくてね。家、すぐ近くだし、明るい道通っていけば大丈夫だよ。それに。」

「…それに?」

「私を家まで送っていくことができる、っていう特権持ってるのは川村だけだから。」

…あれ?佐野君なんでそんな怖い顔してるんですか?