「…顔色、悪いから。」

「…そう、かな。」

「うん。いつも沢嶋さん、もっと元気そうな顔してる。」

青木さんはそう言うとふわっと微笑んで再び前を向きました。

違う、ううん、何もなかった。

きっとさっきのは幻覚ですよね。

だって、教室に知らない子が入ってきたら、誰かしら気が付くはずだもん。

そうだ、私が寝不足だったんですよね。

昨日、頭痛かったからなかなか寝付けなかったし!

きっとそうですよね!


『日娘…ボクは君の体内にいる…。いつでも、どこでも…今も…ずっと…これからもね…。』


『気に入らない…ボクが大好きな日娘は…もっと冷たい目をしてた…、今みたいにヘラヘラしてなかった…。ねぇ、全部アイツのせいなの?』



さっきの不気味な声が頭の中で何度も反響されて、私は思わず耳を塞ぎました。

ダメだ。思い出すな。私…。

あの子は誰?

もっと冷たい目をした私って…誰?

アイツのせい…って、誰のせいなの…?

…違う、あれは全部夢。

文化祭もあるし、しっかりしなきゃ!

よし!もう思い出さない!

絶対に。

私は大きく深呼吸をすると一時間目の教科の準備を始めました。