ああそう言えば。

桜田さんに石膏で殴られそうになった時も、

私が高橋君に本気で怒って、みんなに怖がられたかも、川村にも嫌われたかもって廊下で大泣きしてた時も、

一番に私を助けに来てくれたのは川村だっけ。

あったかくて、ふわふわで優しくて、シャイで、いつも私を助けてくれる川村。

…今すぐにでも仲直り、したい、なあ。

でも、多分口聞いてくれないよね。

どうしよう。

その時だった。ぞくりと背筋に悪寒が走る。

「…っ!?」

じとり、と何かが体の周りにまとわりつくような感覚。

『…あははっ…馬鹿だなあ。』

その瞬間、周りの喧騒がシン…と静まった。

周りを見ると、みんなピクリとも動いていない。

『…本当にお馬鹿さんだなぁ…日娘は…。』

「…え…!?」

可愛らしいけど、それ以上に不気味な声が聞こえてきた。

どことなく、私の声に似ている気がする。

でも、寒気が止まらない。

何、これ。