「…俺に言えないような悩みなんだ。」

その言葉に一気に頭に血が昇りました。

「何でそういう言い方しか出来ないの!?」

思わず怒鳴ってました。

だってそうでしょう。

人に言えない悩みだってあるでしょう?

なのにどうしてそんな言い方するんですか!?

「…私だってこの苦しい気持ちなんとかしたいよ!!!!でも川村に言ったってどうにもならない悩みなの!!!言ったってしょうがないの!!!!だから言わないだけだよ!!!」

あ、言いすぎ?

はっとして口を閉じる。

…ああ、私、何てこと言ったんだろう。

『川村に言ったってどうにもならない』

なんて、完全に八つ当たり。

川村は急に席を立ちました。

「…川村?」

「……ごめん、ちょっと気分転換してくる。」

「あの、川村…ごめ」

私がごめんねを言い終わる前に川村は教室を出ていってしまいました。


でも、どれだけ仲がいい人にも、話せないことってあると思うんです。

…それを認めて欲しかった。

『俺に言えないような悩みなんだ。』

って突き放されるような言い方にすごく腹が立ったんです。

私だって色々考えて、この事を人に話せたらどれだけ楽だろうって思う。

けど、『娘に重大な隠し事をする母親』なんて周りから思われたら、お母さんがかわいそうだから。