「…沢嶋。」

「…ん?」

「…逆じゃね?」

「へ!?」

「罪を憎んで人を憎まず…だろ?」

「……ああ、それ!!!!…罪を憎んで人を憎まずだから、えっと、桜田さんと仲直りしてね!!」

沢嶋は顔を真っ赤にして、ひゃあ、と奇声をあげて俺の後ろに隠れた。

だからなぜ隠れる。

クラス中からくすくすと笑い声が上がった。

「……………。」

高橋は少し笑うと、一瞬だけ桜田の方を見て、そのまま教室を出ていった。

桜田は何か言いたそうな顔をしたが、またうつむくと自分の席に戻っていく。

クラスは徐々にざわつきを取り戻し、いつも通りの休み時間に戻っていった。

「ねえ川村。」

「……何。」

「……ま、間違えた。恥ずかしい。」

沢嶋は真っ赤な両頬を押さえ言う。

「…馬鹿なくせに難しい言葉使おうとするからだろ。」

「ばっ…馬鹿!?そこまで言わなくてもいいじゃん!!!」

「…俺は事実を言ったまでなんだけど。」

「…か、川村の鬼!!!人でなし!!!!」

沢嶋はそう言うと俺をバシバシと叩いてきた。

ちっとも痛くねえし、真っ赤な顔をしてムキになってるところも、ただ可愛いだけなんだけど。