「…嫌な思いさせて、川村との仲も邪魔して、本当にごめんなさい!!!!あの、こんなことで許してもらえると思ってないけど、あたし」

「桜田さん。」

「…っ…?」

沢嶋が桜田の話を遮って、言う。

「…謝る人が違う…と、思う。私じゃなくて…辛い思いをした川村に謝ってあげて?」

桜田はその言葉にゆっくりと顔を上げると、俺の方を見て、ごめんなさい、と頭を下げた。

「…あたし…全然振り向いてくれない川村に、腹が立って、

光希とは幼馴染で…それで…あの…光希が私の事好きなの知ってて、利用したの。

『川村にストーカーされてるから、川村にガツンと言ってやって』

って嘘の相談して…。ちょっと痛い目見せてやろうってぐらいの気持ちだったの。

そしたら…、今日、こんなことになっちゃって、全部、自分勝手な私のせい…。

光希の正義感の強さは昔から知ってたけど、まさかここまでとは思ってなくて…その…
最低だよね…。本当にごめんなさい!!!!!」

自分のことが好き、って分かってたから利用したって…。

…つくづく女って怖い…。

ふっと沢嶋を見ると、顔を真っ赤にして唇をかんでふるふると震えていた。

「桜田さん。」

沢嶋の低い声が響く。