side修也

沢嶋を追いかけて廊下をさまよっていたら急に聞こえた叫び声に近い泣き声。

一発で『あ、沢嶋だ。』

って思った。

とりあえず階段を下りて、声の方向に従って薄暗い廊下を進むと、廊下の途中に丸い『何か』を見つけた。

もちろんその『何か』は沢嶋だったけど。

俺が来てることに気付かずに、泣きながら弱々しい声で俺の名前を呼ぶ沢嶋は、不謹慎だけど可愛かった。

「んだよ。」

と返事をすると、沢嶋は「ええ!?」と言って顔を上げた。

もうその顔が面白いのなんのって。

どうやら沢嶋はブチギレたことを気にしていたらしい。

そのあとは急に抱きつかれるわいきなりキスされるわ大変だったわけで。

今も心臓が爆発寸前なんだけど。

でも普通キスって男からじゃね?

うわあ…情けねえ、俺。

俺らが教室に入ってきたら、みんなしっかり席に着いてて、

さっき高橋と沢嶋の乱闘を教室の隅の方で笑いながら見ていた男子達に

「おい川村~彼女は無事だったかぁー?」

とかからかわれたけど、それを全部無視して席について教科書を開いた。