「…だって、川村がもう…来ないかと思っちゃって。」

「意味分かんねえ。」

川村は笑いながら言う。

「…さっき…お前がブチギレてた時、急に天気が急変してさ。まるで怪物が蘇るかのようなシチュエーションだったぞ。」

「…え。」

そうだったんですかー。

「…いくら自習だからって遅れすぎるとやばいよな。」

川村は私の手をとって、少し早足で階段を上り始めました。

結局自分から手繋いでるじゃないですか。

「つかお前、笑ったり泣いたり怒ったり、急がしい奴だな。本当に。」

「…仕方ないじゃん。」

それが私ですから。

「…でも、ありがと。」

「…え?」

何がですか?

「俺の為にあんなに怒ってくれたやつ、お前が初めてだからさ。俺、ずっと一人だったし。」

その時の川村の顔は少し悲しそうで、寂しそうで、私は川村に握られている手にぎゅっと力を込めました。

大丈夫だよ。

という意味を込めて。