俺は、再び沢嶋に向き直った。

そして、沢嶋の腕を引き、立たせる。

「…沢嶋。悪りぃ。全部、俺のせい…だから。」

そう。全部、俺のせい。

でも沢嶋は笑って、

「…でも、川村が守ってくれたよ?」

と言った。

ああ。俺、やっぱりコイツの無邪気な笑顔が大好きだ。

やっぱり、コイツじゃなきゃダメだ。

俺はゆっくりと桜田の方を振り返った。

「桜田……。」

自分でも驚く程冷たくて低い声だった。


「…沢嶋のこと…いじめられるもんならいじめてみろよ。沢嶋は俺が全力で守ってみせる。」

そうだ。何でこんな簡単なことに気がつかなかったんだ。例え桜田がクラスの女子とグルになって沢嶋をいじめても、

俺が沢嶋を守ってやりゃあいいだけの事だ。

…馬鹿じゃん。俺。


「…はぁ…?何言ってんの、あたし達、まだ仮にも付き合ってるじゃない。絶対に別れてなんかやんないんだから!!!!!」

この期に及んでまだそんなことを言う桜田に、俺は本気でキレた。