人?と思い、顔をあげると――

スラッとした高い鼻。キリッとした切れ目。形のいい唇。

そして、漆黒の色をした髪と目。

一言で言うなら、゙綺麗"という言葉が相応しいだろう。

そこには世間でいう、゙イケメン"がいた。

「…なに見てんだよ。」

低く、安定した綺麗な声。

「…おい。」

私はやっと我にかえり、自分がこの目の前の男に見とれていたことに気づいた。

『すみません…。』

そう言って彼の脇を通ろうとしたら、

「誰?この子。」

と一段下にいた爽やかそうな茶髪の男が言った。