どちらかと言えば、お嬢さま育ちと言えるだろう私。
小さな頃からたくさんの習い事をして、
何不自由なく育ってきた私。



父親がまともに働かず、母親は料理をしない。
貧しい家庭で育った旦那。
愛情にも乏しく、姉、妹、
兄弟全員ワルい方で有名だったらしい旦那。



歩み寄るには違いすぎた。


あまりにも違いすぎた。










次女、ひーちゃんが産まれて10日も経たない日の事だった。

私は長女のゆずを連れて、
実家に里帰りしていた。


朝方………

私は携帯の着信音で目を覚ました。


「もしもし?」

こんな時間に電話なんて、何かあったのだろう。


電話の向こうでは聞き慣れた声が、
いつもより
やや低めに響く。


「ごめん。事故した。」

3ヶ月程前に600万のローンで買ったばかりの新車での事故だった。

「え???いつ???」

昨日の夜仕事から帰って「もう寝るよ。」と電話で聞いたのは夜の9時をまわっていたはず。

今は朝の5時前。

仕事に行くには早すぎる。

「大丈夫?ケガは?」

「ごめん。昨日黙って呑みに出た。帰りに事故して民家に突っ込んだ。」

何がなんだか分からなかった。

車は廃車だと言う。


信じられない出来事だった。



民家の人は二階に寝ていて無事だったと言う。



この出来事から悪夢は始まる。

旦那の本性が見えてくるのだ。