「あ、姫」





白石くんの声が聞こえたような気がしたが、そんなことを思う前に誰かに腕を掴まれた。





「きゃっ!!」





匂ったことのない男の匂いだった。





「お姫様みーっけた♪」





ニヤリと嫌らしい笑みを浮かべる男





「嫌っ!離してっっ!!」





腕を引っ張っても離してくれなくて逆に引き寄せられた。





気持ち悪い・・・





「てめぇ・・姫華を離しやがれ。」





玲くんが今までの中で一番の低い声を出した。





「俺は総長に従うまでだからな。」





男は悲しげに瞳を揺らした。