俺は、自転車を出した。

由梨は、後ろに乗ってしっかり俺に捕まった。

「由梨、遊園地結構遠いし飛ばすからしっかり捕まっとけよ」

「うん」

俺は、スピードを出して遊園地へ向かった。

「早いね~」

「おう、そうだな」

「でも、私達って冬に遊園地行くって季節外れだよね」

確かに冬に行くなんて季節外れかもしれない。

でも、俺は寒くても由梨と一緒に居れるだけでいい……

それに手を繋いだら温かいし……

「確かにそうかもな。でも、寒いけど手繋いだら温かいよな」

俺は、言った。

「うん、そうだね。お兄ちゃんの手って暖かいよね。だから落ち着く」

由梨は、そう言って俺に抱きついた。

俺は、照れくさかった。

でも、嬉しかった……

「由梨……」

俺は、つい後ろを振り返ってしまった。

あの時、ちゃんと前を向いていたらこんな事になってなかったのにな。

由梨、ごめんな……

いっぱい思い出、作ろうって約束したのに……

ずっと一緒に居ようって言ったのに……

結婚するって約束したのに……

全て、俺のせいでごめんな……

本当は、俺だってずっと由梨のそばに居たかった……

ずっとそばに居ていっぱい由梨と思い出、作りたかった。

それでいつかは、由梨と結婚して由梨のウェディング姿を見たかった。

ただ、それだけなのに……

何でこんな事になったんだろうな……

「お兄ちゃん、前」

由梨が突然、大声で俺に言う。

俺は、前を向いた。

車がこっちに来る……

俺は、どうしていいか分からなくて取り合えず由梨に当たったらいけないと思ってブレーキを掛けた。

ドン

俺は、車にぶつかって倒れた。

由梨……――