「何で健斗が……」

お父さんは、そう呟いた……

その表情は、悔しそうだった……

言わなきゃ……

「お母さん、お父さんごめんね……私のせいでお兄ちゃんが死んじゃったの……」

私がそう言うと2人は、驚いた表情で私を見た。

「それ、どうゆう意味? 」

お母さんが言った。

「私が自転車を漕いでるお兄ちゃんに声、掛けたの……それでお兄ちゃんが後ろを振り返って……それで……」

その先は、息が詰まって言えなかった……

「もういいわよ。言わなくて……それに由梨のせいじゃないわ。向こうの車も悪いんだから……だから自分を責めちゃダメわよ。それに自分を責めちゃ健斗は、それを気にするわよ。だから由梨は、堂々としてればいいのよ」

「そうだ。由梨は、何も悪くないんだぞ。だから気にするな」

優しく言ってくれるお母さんとお父さんに胸が痛くなった……

お母さん……

お父さん……

本当は、お母さんもお父さんだって私が憎いのに私に気を遣って言ってくれるんだね。

私は、また涙が出そうだった……

「由梨、泣いてばかりだと可愛い顔が台無しわよ」

「そうだ。目が腫れるぞ」

「うん……」

私は、静かに頷いた。

「それに健斗が居なくても私達が居るのよ。それを忘れないで」

「確かに由梨に取って健斗の存在が大きいのは、分かる。でもな、父さんも母さんも由梨のために頑張るから由梨も頑張って欲しい……」

「うん。お母さん、お父さんごめんね……」

私が謝るとお母さんとお父さんは、「謝るのは、禁止」と言った。

私には、お母さんやお父さんも居る。

それに若葉だって雅人君だって居る。

今は、辛いけど泣いてばかりじゃダメ……

強く前に進まなければ……

じゃないとその先は、勧めない……

ゆっくりでいいから私は、前を向いて歩んで生きたい……

今は、無理かもしれないけど……

私は、その事を忘れていたね。

だからお母さん、お父さん本当にありがとう……