ドクターや看護士さんは、私の方を申し訳なさそうな表情で見ていた。

病院に着いてお兄ちゃんは、零号室に入った。

お兄ちゃんは、白いシーツに囲まれていた。

私は、お兄ちゃんの近くに行った。

そして私は、お兄ちゃんの頬を手で触れた。

冷たい頬……

いつもは、温かいのに……

頬に触れた瞬間、もうお兄ちゃんは居ないだと知らされてるようだった……

私は、再び涙を流した。

お兄ちゃん……

ねぇ、お兄ちゃん起きてよ……

起きて「由梨」って呼んでよ…… 

「心配かけてごめん……もう大丈夫だから」って言って笑いかけてよ……

何で起きないの?

お兄ちゃんは、さっきまで私と話してたのに……

嘘……だよね?

やっぱこれは、夢だよね?

私は、そう思って頬を強く抓った。

でも、痛くなかった……

夢じゃないんだ……

これは、現実……

でも、私は、現実なのになかなかお兄ちゃんの死を受け取れなかった……

私は、その場でシーツをギュッと握り締めて泣き崩れた……

私が泣いたせいかシーツは、涙でいっぱいだった……

ガラ―

突然、誰かドアを開けて来た。

「由梨……」

ドアを開けて来たのは、お母さんとお父さんだった……

何で?

だってお母さんとお父さんは、今旅行中なのに……

「由梨、大丈夫? 」

お母さんは、泣いている私を抱きしめてくれた……

お母さん……

お父さんは、お兄ちゃんの方を見て静かに涙を流していた……

そんなお父さんを見ていると更に泣けて来た。