「お兄ちゃん」

私は、必死にお兄ちゃんの名前を呼んだ。

でも、お兄ちゃんは何も言わなかった……

「お兄ちゃん」

もう一度、お兄ちゃんの名前を呼んだ。

でも、何も反応がなかった……

それから何度、お兄ちゃんの名前を呼んでも起きなかった……

ねぇ、お兄ちゃん嘘だよね?

さっきまで私と話してたじゃん……

なのに何で?

「あの大丈夫ですか? 救急車、呼びますね」

見知らずの男が言った。

でも、その声は私にはもう入らなかった。

私は、ただお兄ちゃんを起きるのを待っていた。

ピーポピーポ……

救急車が来た。

「あなたは、大丈夫ですか? あなたも早く乗って下さい」

「はい……」

私は、救急車に乗った。

「あの何をしてて事故にあったんですか? 」

「2人乗りしてて急に車がこっちに来て……」

私は、あの時の状況を説明した。

そう思うと自然に涙が一気に出た。

「お兄ちゃんは、助かるんですよね? 」

私は、涙を流しながら大声で言った。

「残念ですけど、今確かめたらもう息してませんでした……なのでもう助かりません……力不足ですいません……」

ドクターは、残念そうに深刻な表情で言った。

私は、その言葉を聞いて黙り込んだ……

あの時、私が声掛けてなければ……

あの時、私が遊園地に行くって行ってなければ……

あの時、私がもっと早く気づいていれば……

そしたらお兄ちゃんが今も笑って隣に居てくれたのに……

お兄ちゃん、ごめんね……

私のせいでこんなになって……

私は、その場で声を出して泣き崩れた。