「はい、いいよ。やっぱ由梨は、よく星が似合うな。毎日、それ付けてな。安もんだけど……今度は、もっといいの買ってあげるな」

お兄ちゃんが言った。

「うん。ありがとう」

「じゃあ、お金入れるから準備、しとけよ」

お兄ちゃんは、そう言ってお金を入れた。

私は、背景を選んだ。

ハートの背景を選んだ。

「由梨、手」

お兄ちゃんが私に手を差し伸べた。

私は、差し伸べた手を握った。

「ちゃんと笑えよ」

「当たり前」

私とお兄ちゃんは、手を繋いだまま笑顔で写った。

ポーズを変えて何枚か取った。

撮影が終わって落書きコーナーに移った。

「由梨とプリクラ撮るの2回目だな。また、プリクラ増えて嬉しいよ」

「男なのにお兄ちゃん、変わり者だね。プリクラが嬉しいなんて」

私がそう言うとお兄ちゃんは、「いいんだって。由梨との思い出が増えるから」と言った。

確かにプリクラは、日付が入るし思い出になる。

私もお兄ちゃんといっぱい思い出、作りたい。

だからいっぱいプリクラ撮ったり、いろんな所行くんだ。

これから2人で思い出をいっぱい作るんだ。

「うん、そうだね。私もお兄ちゃんといっぱい思い出作りたい」

私は、言った。

「いっぱい思い出作ろうな。2人だけの」

「うん、約束ね」

私とお兄ちゃんは、約束した。

これからずっと2人で一緒に……

そう思っていた。

でも、まさかお兄ちゃんが居なくなると思わなかった。

ねぇ、お兄ちゃん。

何で私のそばから居なくなったの?

“2人でいっぱい思い出作ろう”

あの時、2人で約束したよね。

お兄ちゃんは、私の約束忘れたのかな?

私、お兄ちゃんが居ないなんて考えられないよ……