家に帰ったら誰も居なかった。

多分、母さんはパートに行ってるんだろうな。

父さんは、もちろん仕事中だろうな。

そして由梨は……

きっと今、雅人に告白されてるだろうな。

そして雅人とうまく行っただろうな。

俺は、そう思ってた。

本当にこれでよかったな。

由梨、やっと雅人と結ばれてよかったな。

俺は、兄として応援するよ。

そう思ってipodで音楽を聞こうとした。

バン

由梨がドアを開けた。

帰って来たんだな。

早かったな。

「何で来なかったの? 」

由梨が言った。

何でって由梨は、雅人に話あるんだろ?

だからそれでよかったじゃん。

なのに何でそんなにムキになって言うんだよ?

「ごめん……雅人が由梨に話があるって言ったから」

俺は、言った。

「雅人君が来てビックリしたよ……」

由梨がそう言うと俺は、「雅人から告白された? 」って言った。

「告白されたよ……」

「もちろん、OKしたんだろ? よかったな」

俺は、言った。

「OKする訳ないじゃん。私は、お兄ちゃんの事好きなんだから……」

由梨がそう言うと俺は、「えっ……? 」と言った。

一瞬、由梨が何言ってるか分からなかった。

由梨が俺の事、好き?

意味が分からなかった。

雅人の事、好きじゃないのかよ?

「だからお兄ちゃんの事が好きなの」

由梨が言った。

なぁ、それ本当か?

本当だったら何でもっと早く言ってくれなかったのか?