「後、ちょっとで終わるよ」

「じゃあ、放課後裏庭の木に来て。話したい事、あるから」

由梨がそう言うと俺は、「うん、分かった」と言った。

どうせ雅人の事だろうな。

俺は、そう思った。

もしかして由梨も雅人と同じで雅人に告白しようとしてるかも。

それで俺に相談しようと思ってるんだよな?

だったら雅人、呼んだ方が早いよな。

俺は、勝手に勘違いしていた。

まさか由梨が俺に告白しようと思ってると思わなかった。

俺は、文化祭が終わって制服に着替えて雅人に声掛けた。

「雅人、すごい指名されまくってな。やっぱ雅人は、すごいな」

俺がそう言うと雅人は、「そんな事ないよ。それより健斗、由梨ちゃんの所に行ったんだろ? どうだった? 俺も見たかったな」と言った。

「ああ、行ったよ。由梨、可愛かった。それより由梨が雅人に話したい事、あるから裏庭の木に来てだってさ。もしかして告白されるかもな」

俺は、言った。

「そっか。やっぱ俺も見たかった。えっ、由梨ちゃんが? もちろん行くよ。告白じゃないよ」

雅人は、言った。

「じゃあ、俺帰るな。雅人、ちゃんとその時告白しとけよ」

「おう。健斗、ありがとな」

「おう」

俺は、そう言って帰った。

これで由梨と雅人が結ばれる。

俺は、そう思っていた。

だけど、違ってたんだな。

俺は、1人勝手に勘違いしてただけだったんだな。

由梨がまさか俺の事、好きだと思わなかった。

俺は、ずっと由梨が雅人の事好きだと思ってた。

だからそれを聞いてすごい嬉しかった。

信じられないほど……

でも、雅人には悪い事しちゃったな。

ごめんな……

雅人だって由梨の事、好きなのに……

俺が由梨をはっきり諦めていたらよかったのにな……