「由梨、若葉ちゃん。お待たせ」

お兄ちゃんが来た。

うわっ、お兄ちゃんカッコ良い……

さっきは、後姿しか見えなかったけど前から見るとはっきり分かる。

これじゃお兄ちゃん、指名されまくる……

私と若葉は、お兄ちゃんに指定された所に座った。

「由梨、ここどう? 」

お兄ちゃんが言った。

「何かカッコ良い人いっぱい居るね。やっぱお兄ちゃんと雅人君、指名されまくってるでしょ? 」

私がそう言うとお兄ちゃんは、「雅人ならすごい指名されまくってるよ。俺は、雅人ほど指名されてないよ」と言った。

やっぱ雅人君とお兄ちゃん、モテるんだ。

2人もすごいカッコ良いし……

でも、私はお兄ちゃんの方がカッコ良いと思う。

前は、雅人君の方がカッコ良いと思ったけど……

やっぱ皆、好きな人をカッコ良いと思うよね。

「やっぱ雅人君とお兄ちゃん、モテるんだ」

私は、言った。

「雅人は、モテるよ」

お兄ちゃんは、いつも自分じゃなく他の人ばかり誉めている。

お兄ちゃんのそこがいいけど、自信持てばいいのに……

「由梨、私誰かに指名して来るね」

若葉がそう言って去った。

若葉……

きっと私に気を遣ってくれたんだね。

本当にごめんね……

「そう言えば、お兄ちゃん何時に終わるの? 」

私は、言った。

「もうちょっとで終わるよ」

「そっか。じゃあ、放課後言いたい事あるから裏庭の木に来て」

私がそう言うとお兄ちゃんは、「うん、分かった」と言った。

言えた。

後は、裏庭に告白するだけ……

私は、告白を胸に秘めた。