「別にいいよ」

私は、怒った表情で言った。

本当は、嬉しい。

久しぶりにお兄ちゃんと一緒に走ったから楽しかった。

「由梨、本当にごめん。この通り、許して」

お兄ちゃんは、手を合わして言った。

別に怒ってないのに……

むしろ嬉しいのに……

お兄ちゃんは、本当に私の気持ちが分かってない。

本当に鈍感だ。

だから余計にお兄ちゃんをいじめたくなる。

私、やっぱSなのかな。

「アイス買ってくれるなら許す」

私がそう言うとお兄ちゃんは、「分かった。アイス買ってくるから」と言ってアイス屋に行こうとした。

お兄ちゃんって本当に単純。

そんな所が好きだけど……

「お兄ちゃん」

「うん、どうした?」

お兄ちゃんが後ろを振り返った。

「さっきの嘘だよん」

私は、アカンベーをして笑った。

「由梨の意地悪」

お兄ちゃんが言った。

「騙されるお兄ちゃんが悪い」

私がそう言うとお兄ちゃんが私の脇をくすぐってきた。

くすぐったい。

もうダメ。

「参ったか?」

「参りました」

私がそう言うとお兄ちゃんは、止めた。

ふぅー。

「さてと由梨、帰るぞ」

「うん」

私とお兄ちゃんは、家に帰った。