「由梨、何て顔してるんだ」

お兄ちゃんがそう言って笑っていた。

もうお兄ちゃんは。

「お兄ちゃん、笑うなんかひどい」

私がそう言うとお兄ちゃんは、「だって事実だろ。早くしないと置いて行くぞ」と言った。

事実って……

それより置いていかれるのは、嫌だ。

「お兄ちゃん、待ってよ」

私は、そう言ってお兄ちゃんを追いかける。

「ここまで追いで」

お兄ちゃんは、後ろを向きながら意地悪そうな表情してた。

ドン

「痛ッ」

私は、しりもちしたまま上を向いた。

ゲッ

先生。

「こらっ、白井兄弟。廊下は、走るな」

「はい」

私は、先生の迫力に負ける。

「先生、どうもすいませんでした」

お兄ちゃんは、そう言って私の手を引いて走った。

「こらっ、白井兄弟」

先生は、そう言って私とお兄ちゃんを追いかけて来る。

「おい、誰か白井兄弟を捕まえろ」

先生は、必死に顔を真っ赤にしながら言ってるけど皆その姿に笑っていた。

「こらっ、笑うな」

先生は、追いかけて来なくなった。

皆のおかげで逃げ切れた。

ハアーハアー

私は、息切れしてた。

「由梨、大丈夫か?」

お兄ちゃんが心配そうに言った。

「大丈夫じゃないよ。お兄ちゃんのせいでしょ」

私がそう言うとお兄ちゃんは、「ごめんごめん」と言った。

もうお兄ちゃんは、あいからわずのほほんとしてるんだから。