家族や友人たちに囲まれる二人を、遠くから見つめる男が居た。
タバコを口にし、目を細める。
腹違いだとしても、妹に変わりはない彼女の姿を見、「おめでとう」と呟く。
それから主役の傍らに居る幼なじみを見る。
とうとう泣き出してしまい、友人がハンカチを差し出している。
相変わらず小柄で、でも顔付きは以前より大人っぽく、良い女になっていた。
傍に行って抱き締めたい。
そう思いながらもそれ以上は近づかず、遠くから彼女らを見つめるだけだった。
ふと、目が合う。
美和が冬馬に気付き、冬馬は美和と目が合ったことに気が付いた。
驚く顔。そして、
今日の主役の元から、人々をかきわけ冬馬に近づく。
「なんでっ……」
美和の第一声がそれだった。