「理沙ぶー」

ギャラリーの入口にタケルが立っている。

アルマーニのスタンドカラー。

いつものように無造作に、ボトムのポケットへ両手を突っ込んでいる。

けど、今まで見たことがないぐらい固い表情。

『あの人も少しはビビってくれたわけだ』

悠斗が言った言葉が、鼓膜に甦った。

本当に、私を盗られたくないと思ってくれてたんだろうか。

私が悠斗とデートしてる間、彼も落ち着かない時間を過ごしてくれたんだろうか。