慎也side



キャー、キャアァ!!?


…ッイヤァァァ!!



劇場に入ってから30分。



スクリーンの方から悲鳴や奇声が聞こえ始めると、




それを見ている人達から、緊迫した空気が流れる。




時には、ゴクリと、息を飲んでいる様子も感じられた。




さすがに、怖いと言われてるホラー映画だけあって、なかなかの仕上がりだ。


きっと、いつものオレなら、スクリーンに釘付けになっているだろうなぁ…。




オレは、そんなことを考えながら、軽く肩を落とした。



今、オレの頭の中を占めてるのは、紗綾ちゃん。




まさか、こんなところで会うなんて予想外すぎて…正直、テンパってる自分がいる。



それに、弟くんのこと…真面目に彼氏かと思ったしさぁ…。



あー、ダメ。マジ、今日のオレ、ダサすぎる…。