「…紗綾、待てよ」
真生くんのその言葉に私は体が固まるのを感じた。
…やっぱり、怒ってるのかな?
「な、何…?」
そう思った私は体を固くして、おそるおそる真生くんに問いかける。
「…今度遊びに来るときは、オレに声かけてからにしろよ?」
ドキン
あぁ、いつもの真生くんだ。
ちらりと、真生くんを見ると、いつもの私と旭に向ける優しい表情だった。
「うんっ!」
私はそれが嬉しくて自然と笑みが溢れる。
「…とりあえず、紗綾、今なんか飲み物取ってくるから部屋で待ってろよ」
すると、
「…ちょっと真生くん!?今日は私と約束してたでしょ!?」
部屋を出ていこうとする真生くんに、
さっき、真生くんとキスしていた女の人が苛立ったようにそう叫ぶ声が聞こてきた。