「……は?…紗綾か?」





扉を開けた真生くんの少し驚いたような声。




なんでいるんだって思ってるんだろうな…。




私は、そう思うと、曖昧な笑みを浮かべた。




「あ、ゴメン。久しぶりに学校はやく終わっちゃったから…真生くんのところに来たんだけど…なんか、お邪魔しちゃったみたいだね……」




早口でそう言う私を、真生くんはただじっと見ている。





私は、その空気に耐えられなくて…




「……あ、私はもう帰るね、勝手にお邪魔しちゃって本当にごめんなさい。じゃあ、真生くん、またね」





心とは裏腹に体は勝手に動き出す。




本当は、真生くんとそこに立ちすくんでいる女の人を2人きりにしたくなんかないのに…。