「結…結…」

何度も結の名を呼ぶ琴美。


「結は大丈夫だ・・・

オレと琴美の子供だぞ・・・

しっかりしろ、琴美。

無事に連れて帰るから」


琴美を安心させるようにそう言った。

琴美を抱き寄せる腕は優しく、

でも、もう片方の手は、握り拳を作っていた。


…一体誰が?

…何の目的で?


色んな事が頭を駆け巡ったが、

何の答えも出るわけもなく・・・

オレはとりあえず、琴美を実家に連れて行った。


「お義母さん、すみません。

またこんな事になってしまって…」


1回、2回…お義母さんに迷惑と心配をかけた。

そして今回が3回目。

でも、意外な事に、お母さんは冷静だった。


「…結はきっと無事よ。

2回もこんな経験をしたら、なんだか冷静でいられるものね?

結は、琴美と秀さんの子供ですもの。

必ず無事に帰ってくる・・・」